人工光源の進化

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光あれ…

初めは、地球と地球上に生息する人や動植物にとって太陽のみが光源でした。その後、人類の祖先が火を巧みに利用できるようになり、人類は久しく火を基とした光源を使用し続けてきました。

もちろん、火は光源のみならず、調理、道具の製造、生活のための暖や保温にも利用されてきました。何世紀にも渡り、明かりとして周囲を照らすという火の基本的な使用方法は、蝋燭やオイルランプの登場と開発が進むまで、大きく変化することはありませんでした。ごく近代の歴史まで時を飛び越えてみると –  近代、18世紀から19世紀にはガス灯や灯油ランプがよく見られます。19世紀初頭のアメリカやヨーロッパの街並みでは、ガスを使用した燈やランプが通りに設置されていました。それでも、まだ火を使用する事が基本でしたが、より近代的に制御できるものになりました。

電灯の進歩

19世紀の終わり頃には電灯が発明され進歩しており、トーマス・エジソン1人による発明と誤った認識はありますが、特に白熱電球の開発がありました。白熱電球の開発については、エジソン以前に20名以上の発明家が開発に係わっているというのが実話ですが、エジソンが選んだ材料選択、高真空の使用、そして設計された電気回路というベストな選択技が彼の時代とマッチしたことによって、エジソンのバージョンが優先されたことも事実です。

エジソンの発明から140年以上たった現在に至っても、白熱電球の特性は、それが発するスペクトラムの可視部分の観点から、「キリストの聖杯(ホーリーグレイル)」として考えられています。これは、灯りが電球操作の副産物に過ぎないためであり、本質的には高耐性フィラメントを通して電流を伝え、摂氏3000度にまで過熱できるためです。

その結果、ほんのわずかな電力(数パーセント)が灯りとなり、残りは不要な熱として散逸します。
その上、人には目に見えない放射線として放出されます。よって、白熱電球の発光効率の測定は、光源として17ルーメン/ワットを限度に、どれほど可視光線を生成するかで計測します。

さらに、過酷な作動条件(真空、高温)により、白熱電球は消耗し、その寿命は約1,000時間以内とされます。一方で、白熱灯からの放射線放出は、私たち人類の住む位置から1億5千万キロメートル離れていてもその熱さを誰もが本質的に体験してる太陽からの放射線に類似しています。

太陽は熱平衡にある高温の無反射体であり、黒体熱放射の物理学に従って発光します。放出された光のスペクトラムだけを見てみると、太陽と白熱電球との違いは、それらの異なる温度にのみ起因する可能性があります。これが白熱電球から発せられる光が私たちにとってごく自然に見える理由です。表1に、スペクトラムの可視部分にある白熱電球の典型的な滑らかなスペクトラムに関しても表示しています。

次のステップ – ネオンおよび蛍光

その後、放電によって引き起こされるガス管内での原子遷移に基づくネオンと蛍光が発明され、光源は白熱電球(60ルーメン/ワットを最高発光効率とする)より省エネ型で耐久性(使用寿命は最長15倍まで増強)のあるものとなりました。
管の中に蛍光剤を加える事で発生する紫外線放射を吸収し、さらに、より長い波長を放出することで、白色光源を作り出します。このテクノロジーにより商業目的で大規模な看板を作ることが可能となり、20世紀に広く使用されるようになりました。

電灯のもろさと危険な要素があるという事実以外の主な欠点としては、発光スペクトルの波長内にいくつかのスパイクがあり、原子遷移(精密なガス混合に従属)に関連しているため、表1で示すように、滑らかではなく、連続的であるということです。そのためこの場合の光源は我々の目には自然な状態には見えないのです。

LED 時代

それから、次にはLED 時代が始まります。LED は発光ダイオードに基づく半導体光源です。(略してLEDとされる)基本的に、LED はそこに流れる電流によって発光します。電子が2つの半導体材料の接合部を通過し、電子穴で再結合、ダイオードのバンドギャップによって設定されたエネルギーで光子を放出します。

LEDは1960年代に電子機器で普及し始めましたが、当初は赤外線の範囲だけの光放出だけで、我々の目には見えないものでした。
その後、赤色LED が発明されて主に電子機器のインジケーター用に使用されました。この技術は、科学的進歩によってこの技術が一般的な照明目的、特に新しい材料を使用した高度な製造プロセスの開発に依存した高輝度青色LEDの発明に使用できるようになるまで、30年以上かかりました。強力な青色LED 光源により、蛍光灯と同様のコンセプトで白色光源を作成することが可能になりました。 青色光を吸収し、より長い波長で発光する材料を追加することにより、照明に適した白色光源を作成します。この高輝度の青色LEDは3名の日本人発明家が2組の研究グループ内でプロモーションし開発されました。この発明は2014年のノーベル物理学賞を受賞しています。

異なる光源の各々のスペクトル

そして、その次は?

今日では、 LED ライトはどこででも見ることができますね! LED 市場においては、10年続いたこの桁違いの成長は2023年までは継続し、白熱電球の供給は間もなく終了すると見ています。というのも、すでに多くの国々ではその非効率性により販売を終了しているからです。.

この1世紀半に渡る我々のテクノロジーに関する、新参者に打ち負かされた敗北の歴史についてはいかがだったでしょうか? 何よりもまず                – 現在の LED には発光率が最高300 ルーメン/ワットあり、その寿命は高効率性の白熱電球の18倍あります。さらに、ほとんどのLED はLED 照明器具を製造するために適切な電子機器と光学との組み合わせが可能で、LED の明かりは小さな部屋から巨大スタジアムまで何処ででも照明する事が可能です。さらに、LEDのウォームアップ時間は短く、簡単に調光でき、衝撃にもスイッチのオン・オフの頻繁な操作にも強いのです。

LEDは照明業界を席巻すると予想され、現在では屋内農業の目的にも利用されています。(植物はスペクトルの好みが異なるため、屋内園芸用に使用されるLEDは、主にスペクトルの紫外線部分と赤外線部分の放射を放出します)

LED は完璧な照明ソリューションに聞こえますが、欠点もあります。1つには、白色LEDスペクトルには白熱灯より多量の紫外線が含まれているため、我々の目や肌へのリスクが生じる可能性があります。さらには、白色LEDは蛍光灯あるいはネオンの光と比べても、より自然の光に近く見えますが、通常は405または 450 nm (紫色あるいは青色)付近にピークがあり、滑らかな白熱電球のスペクトルとは競合することはできません。この状況が表1に提示されています。最後に、LEDを見ているとチカチカして見える場合があります、例えば、一定期間に照明度数が頻繁に変更されるため、状況により、頻繁に起こる頻度や現象の度数などにより脳内に影響が起こる場合があります。ですから、LED ライトはまだ完璧ではないかもしれませんが、広範な研究開発の努力により、その品質はますます向上しています。

白熱電球は1世紀以上に渡って標準的な照明器具とみなされており、それが発する自然光のために、研究者は他の照明技術から発せられる光を自然光と比較して定量化するために、様々な測定基準と基準を開発しました。重要なものは次の通りです。

  • 相関色温度。これは非白熱光源に最も似ている黒体放射温度を推定します。
  • 演色評価数。理想的な光源と比較して、特定の照らされたオブジェクトの色を明らかにする光源の能力を測定します。
  • TM-30-18は、光源の忠実度と飽和レベルを評価するための高度な標準であり、結果のグラフィック表示も含まれています。
  • フリッカーインデックスおよびパーセントフリッカー。それぞれ、平均光レベルと最大波形振幅変動を超える波形の部分を測定します。
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