BeamWatchでフォーカスシフトを測定し、安定したレーザ加工を実現

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によって書かれた マイケル・モズジェチコフ、ビジネスデベロップメント部部長

当社はレーザ関連の様々な測定機器を販売しているが、レーザ溶接や切断、更には積層造形等、高出力レーザ加工時に於けるフォーカスシフト測定(ビーム焦点位置の変動)を目的とした、BeamWatchシリーズを販売している。レーザ加工時に焦点位置の挙動を把握することで安定した高品質の加工が実現できるため、BeamWatch によるモニタリングは不可欠だ。

BeamWatchの筐体にレーザビームを通過させることで、焦点付近で発生しているレイリー散乱を内部に組み込まれたテレセントリックレンズ及びCMOSカメラによりビームをモニタすることでフォーカスシフトやビーム径、M2等の測定をリアルタイムで実施することができる。レイリー散乱をモニタする関係上、最小測定出力は30Wになるが、入射ビームに対しては非接触なので最大測定出力に上限は設定していない。(モデル、ビーム径に依存)

過去には100kWという超高出力レーザの測定を行った実績もあるので現在、市場に流通している殆どの高出力レーザの測定が可能だと言っても過言ではない。

レーザ溶接、切断に於いて高品質な加工結果を追求すると、パワーメータによる平均出力測定だけではレーザ加工中に生じているフォーカスシフトを捉えることはできないため、BeamWatchによるモニタリングが必要となる。ビームの状態が正常な状態であることを確認し、プロセスを進めることで加工不良の低減、そして測定回数やタイミングにも依存するが、加工時のエビデンスにすることも可能となる。

特に1kW以上の高出力レーザでの加工時には保護ガラスや集光レンズにヒューム、スパッタ等が付着し、熱レンズ効果によってフォーカスシフトが発生することで加工対象物に照射されるレーザの出力密度が下がることによって、レーザ加工は時間経過と共に変化してしまい、理想の加工ができなくなるのでレーザ加工システムやアプリケーション、使用頻度毎にユーザ自身によるレーザの管理が必要だ。管理というのは主に保護ガラス、集光レンズのクリーニングまたは交換になるが、BeamWatchで測定を実施することによって、その管理のタイミングが分かるようになり、加工不良を未然に防ぐことができるようになる。

自動車のデファレンシャルギア(通称デフ)を想定すると、不良品は即事故へ繋がるため厳密さが求められ、当社製品を採用しているドイツの自動車メーカーでは、各デフ部の溶接時にBeamWatch-Integratedを用いた測定を行い、データとして保存することで、仮に不具合パーツが生じた場合は加工時の状態をトレースできるようにしている。また、EV化に向けて製造されるリチウムイオン電池のアルミケースのレーザ溶接など、非常に難易度の高いレベルのレーザ溶接が行われており、リチウムイオン電池の溶接不良、異物混入といった不具合は電池そのものの爆発や発火に繋がるためデファレンシャルギア同様に当社製品を用いて定期的な測定が行われることにより、レーザ溶接の信頼性は担保され、厳しい要求下において当社製品はユーザより信頼を得ている。

昨今のレーザ溶接、切断では特殊なビームモードを形成し、ヒューム、スパッタを低減させるべく複雑なビームプロファイルも増えているが、レイリー散乱をモニタし、非接触で測定する当社技術は、どのようなビームモードであっても適切にフォーカスシフトやビーム径の測定が行えるため幅広い分野での採用がなされている。

レーザの測定は非常に重要で、レーザまたはレーザーシステムを導入し、そのまま運用する時代から、更なる精密プロセスが求められている今、出力測定以外にもフォーカスシフトやビームプロファイルを測定する必要性がユーザから理解されつつある。非接触のビームプロファイル測定は当社独自の技術で、高出力レーザであっても容易に安定した精度の高い測定を行うことができる。今後、BeamWatchシリーズの市場導入が進むことでレーザ加工分野の更なる発展に寄与できることを願っている。

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